季節の花は…2014/06/09 21:50

道標
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:下関市吉田東行庵





季節の花は時の流れの道標

人の心がどんなに変わっても

季節の花は変わらぬ姿で

何事もなかったかのように変わらぬ姿で

巡る季節の中に花開き

僕はこの花をともに見た人の面影を

胸の中に思い描いて懐かしみ

ふと心の中にざわめいた感情を

抑え込みながらゆっくりと歩く

季節の花は時の流れの道標

思い出のない季節などなくて

思い出のない花などなくて

思い出のない場所などなくて

何を見てもどこへ行っても溢れだしそうな思い出を

ひとつひとつ塗り替えるために今日も歩く



   風よ 季節の訪れを告げたら淋しい人の心に吹け
   
   そして巡る季節よ その愛を拾って終わりのない物語を作れ

                        「風」 ささやかなこの人生 より

水無月の闇に羽ばたく2013/06/09 21:42

水無月の闇に羽ばたく
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:宇部市常盤公園菖蒲苑




例年より早く梅雨入り宣言が出されたと思えば

その後さっぱり雨が降らず、「もう中休み?」と呆れていた この週末、

降らないならバイクにでも乗るかねぇと思っていた矢先に雨の予報が出た。

何も日曜日に降らなくても…、と恨めしく思うのは僕がバイク乗りだからだろうが

まったく降らないのも心配なわけで、他の季節に比べれば諦めもつけやすい。

「水無月」とは暑さで水が枯れるから「水の無い月」なのだとか

「無」は「の」の意味をあらわしていて本当は「水の月」という意味を持つのだとか

諸説あるようだが、僕にはどれが本当なのかよくわからない。

少なくとも六月の梅雨の時季には雨が主役というイメージがあるから

水の無い月というのはおかしいとは思う僕は、実はそんなことはどうでも良くて

六月には花菖蒲とあじさいが花開くという事実が大切なのである。

ただ、この花菖蒲の紫系の色はカメラが再現を苦手とする色のようで

これは私が使っているカメラだけかもしれないのだけど

どうも見たような色が出た試しがない。

そのうちに色の再現は完全に諦めてしまって撮影にも遊びが混ざってくる。

花びらの付け根の黄色い部分をスポット測光で狙うと

闇に羽ばたく白い蝶の群れのような構図になって

どんどん本来の撮影意図から外れた遊びにのめり込んでゆくのである。

写真という言葉は「真を写す」と書くわけだが

実は目で見た真実とは大きくかけ離れた絵を創るのももなかなかおもしろいものだ。

例えば明るいレンズで前や後ろに大きなボケを創ってみたり、

測光で背景を闇に変えてみたり、

現実にはありえないような色を再現したり、

こういった遊びはやはりコンデジの手には余るわけで

重い一眼レフをぶら下げてしばし遊びに興じることになる。

ところが何年か前から実は私の花菖蒲はいつもこんな絵ばかりだ。

思いついた遊びにわりと執着する癖があるのか、

あるいは他の遊びを考え出す能力に欠けるのか、

おそらく後者に間違いはないのだが、このことを自分でも少し残念に思っているのは事実だ。

そのくせ性懲りもなく同じような写真を毎年撮り続けるということは

そこがアマチュアカメラマンのお気楽なところで、

趣味なんだからそれでもいいと理由付けして納得しているのも

自分のことながら可笑しさを堪え切れない。

水無月の闇に羽ばたくのは我が貧弱な感性なのか?と考えるわけである。

ライブ2013/03/19 23:04

ライブ
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
アートフィルター:ラフモノクローム
撮影場所:萩市虎ヶ崎




頼まれて友人のライブの写真を撮りにいった。

カメラを趣味にしていても「人」を大っぴらに撮るチャンスというのは意外とないもので

これ幸いとばかり、僕はいそいそと出かけていった。

ロケーションを確認しながら本番を待つ。

彼も待つ。

手元にあるカメラには換算600mmまで伸びる望遠レンズが付けてある。

少し暗いのとAFが遅いのが心配だが、この場で使えそうなのはこれしかない。

演奏が始まる。

ファインダーを覗く。

望遠レンズが引き寄せた彼の顔は普段のはにかんだような表情とは別人のように目まぐるしく変化する。

そのうちに映像に酔ってきた。

シャッターを押しながら少しハイになっていたのかもしれない。


ファインダーの先を見つめながらライブとは聴かせるものではなく魅せるものだと思った。

僕にはもう楽しめないと思っていた音楽も、まだ楽しむ方法があるってことを知った。

音楽だって見ればいいんだ…。

物欲の秋2012/10/23 21:23

風の語らい
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:山口市秋穂




秋の風にさわさわとコスモスの花が揺れていた。

これはほんの少し前の風景…。

暖かい飲み物が恋しくなってきたなと思っていたら

いつの間にか10月も半ばを過ぎていて

やっぱり日常の慌ただしさはいつもと同じだ。

せめて休日には心の洗濯をしようとカメラを持って出かけるのだが

毎年、巡る季節の中で好む風景に変わりはなく

歳を重ねるということはこういうことなのだなと

実はもうずっと前から気がついている。

ところでこの週末には新しいカメラが僕のもとへ届く予定だ。

新しいカメラを使えば毎年同じに見える季節の風物詩が

劇的に変わるはずもないが、実は秋から冬という時季は

僕にとって物欲の季節でもあるわけだ。

そしてこのブログにもカテゴリーがひとつ増えることになる…。

小宇宙2012/10/03 21:34

小宇宙
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:山口市小鯖八幡宮





彼岸花の開花が少し遅れただけでやきもきしていた秋の始まりだったが、

いくつかの台風が通り過ぎるたびに風が冷たくなってきて、

気がつけば秋の花はコスモスへと主役が代わっていた。

花の中心にいくつもの星の形が見えるから

Kosmos(宇宙)という名前なんだと、誰かに聞いた憶えがある。

10月の声を聞けば毎年欠かさず出かける恒例のイベントがいくつかあって

そんなイベントを楽しみに二人して出かける、それくらいの範囲が

どうやら僕の小宇宙の大きさのようだ。

無限の宇宙から見ればほんの小さな花びらの中を覗き込んだような、

ちっぽけな宇宙から出ることもなく僕たちは日常を過ごし、

そんな枠からはみ出さないことが幸せなんだと固く信じて生きている。

ささやかでいい代わりにその幸せがずっと続くことを祈りながら…。

歩く洗濯機2012/09/24 20:46

始まりの赤
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
アートフィルター:ライトトーン
撮影場所:山口市小鯖八幡宮




我が家にはずいぶんと前から使っている洗濯機があって、

これが仕事をし始めると、家全体がゴトゴトとそれは賑やかになる。

脱水の初めにブルッと一度震えたかと思うとピーピーわめいて

布が片寄っているから直せと訴える。

直してやればやったでごっとんごっとんと巨体を震わせて

律儀にまたすすぎからやり直すわけだ。

そして脱水の初めの布片寄りをどうにかクリアしたと思ったら

今度は洗濯パンの中をのっしのっしと歩きながら水分を弾き飛ばすわけである。

そんなどうしようもないポンコツ洗濯機が、先日その役目を解かれて去っていった。

新しく家に来たのは放っておけば乾燥してアイロンまでかけてくれるという新型だ。

さっそく使ってみると、洗濯機が仕事をしていることなど忘れてしまうほど

静かにきっちりといい仕事をする「できる奴」だった。



「静かな洗濯機なんて…」



もちろん静かで仕事のできる奴がいいに決まっているのだ。

なのにあのわがままでうるさかった奴が居なくなったのがなぜかちょっぴり寂しくて

ピーピーとわがままを言っても蹴飛ばさずにもう少し優しく使ってやればよかったなと

秋風とともに愁いをおびてきた僕の心がしんみりと思いだすわけである。

あぁ、また秋だ。

秋になるといつもこうなのだ。

夜が長いと想うことも多いものなのである。

夏の終わりに想うこと…2012/08/31 22:32

不動
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:広島市安佐動物公園




早いものでもう八月も終わり…。

夏祭りと夏のソロツーリングが終わった時点で

気分的に僕の今年の夏はもう終わっているが

まだまだ暑い日が続いている。

それでも近頃、夜には涼しい風が吹き

秋の訪れが感じられるようになってきた。

思えばブログに書く記事も季節の移り変わりに想うことばかり、だったり…。

それにしても僕はこんなにも巡る季節に物想う習慣があっただろうか?

いや、去りゆく季節を名残惜しく感じはじめたのは、ほんの最近のことだ。

少し前に古い友人と久しぶりに話し込んで、ずいぶんと昔話に花が咲いたのだが、

その友人が「最近、残りの人生について考えることがある」というのを聞いて

あぁ、僕も同じだ、と、そのとき妙に納得したのだった。

そして、去りゆく季節が妙に愛おしいのは

こんな気持ちが心の奥底に芽生えたのが原因なのか?とも思うようになってきた。

明日から九月、今年は暦の関係で夏休みを二日ほど余分に休めるようだ。

子供たちは今頃、残りの宿題に追われていることだろう。

夏休みの終わり…、季節の移ろいを人生にたとえてみれば

僕の人生も今、ちょうどこんな季節なのかもしれない。

宿題はまだたくさん残っているというのに…。

夜の散歩道2012/03/29 22:13

五色八重散椿
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:山口市両足禅寺




送別会の帰り道…、外へ出てみれば思いの外あたたかい風が吹いていて

なんとなくそのあたたかさに誘われるように歩きはじめた。

駅前の街路にある欅はまだ冬の装いのままに見えたが

近くのこぶしがもう枝の半分ほどに白い花を咲かせていて

意外なほど急に進んでいた季節の移ろいに驚きながら

立ち止まって夜空を見上げてみる。

並んだ客待ちのタクシーもどこか所在無げだ。

うん、今夜はやっぱり歩いて帰ろう、ずっと待ちわびていた春の夜だから…。

再び歩きはじめた。

普段は通り過ぎるだけの景色が目に新鮮で心地よい。

大通りのコンビニに寄って夜のおやつを買い込んで

住宅街まで戻ってくると公園の桜の蕾が膨らんでいた。

そして路地を曲がると風が運んでくる沈丁花の甘い香り…。

顔見知りな近所の柴犬もなぜかそわそわしているように見えて

遠回りして歩いた夜の散歩道は幸せなほどのあたたかさだった。

白鳥の湖2012/02/19 22:45

白鳥の湖
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
アートフィルター:ファンタジックフォーカス
撮影場所:山口市徳地町大原湖畔




ときおり雪が舞う休日だった。

バイクに乗って雪道を走ろうという予定は朝のあまりの寒さに敢え無く却下…。

ならばせっかくの雪だから雪景色を撮りに行こうと、

本気モードのカメラを持ち出したまではよかったが、

俄かカメラマンがこれといった目標も定めないままうろうろしたところで素晴しい絵など撮れるわけもなく、

道路に飛び出してきた猿を撮ってみたり湖に浮かぶ白鳥を撮ってみたり…。

いつも訪れる冬の湖はまだ少し雪化粧が残っていて厳寒の趣を見せている。

そんな水面を一羽の白鳥がきょろきょろしながら滑って行くのをしばらく眺めていた。

本当にきょろきょろと辺りを見回している様子が少しおかしくて

そこだけ厳しい冬の景色が緩んでいるように見えた。

僕にはもうわかっている。

春遠からじ…。

君の名は2011/06/22 16:54

君の名は
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:山口県防府市護国寺



2週間ほど前の話だ。

我が街、防府市の護国寺へ花菖蒲の花を見に行った。

ここは漂泊の俳人、種田山頭火の墓があるお寺ですぐ横に菖蒲園がある。

残念ながら花菖蒲の見頃はずっと先という感じだったのだけど、菖蒲園の端っこに紫色のきれいな花が咲いているのが目に止まった。

背筋のシャンと伸びたような様子から何かの園芸種だろうと思ったのだが、はっきりとした名前がわからずそのまま放っておいたのだった。

そして忘れてしまった頃にあるブロガーさんの記事で偶然この花の名を知る。

君の名はウスベニアオイかゼニアオイ…、どちらにしてもアオイ嬢だ。





鴨の子を 盥に飼うや 銭葵

子規の句にある花を山頭火の墓所で見る。

最近はなぜかこのふたりの俳人に因縁を感じることが多い。

まぁ、だからといってけっして名句が浮かんでくるわけではないが…。