払暁2013/07/17 21:23

払暁
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9
撮影場所:周南市菅野ダム湖




例年よりも早く入梅が宣言された今年の梅雨だったが

ここ何年かのお決まりのように末期の豪雨があがったと思ったとたん

炙られるような灼熱の日々が続いている。

暦の関係で例年よりも一週間ほど早く訪れた海の日に絡む三連休、

うんざりするような真夏の暑さから逃げるように

仲間たちと連れ立ってバイクで出かけた。

夏のツーリングは早立ちがいい。

日曜日の朝、まどろむ街を通り過ぎて山間へハンドルを向けると

お気に入りルートの途中にあるダム湖には濃い霧がかかっていた。

普段ならあまり見ることもないこんな景色に目を奪われて

ダムの軸上でしばらくバイクを停めて、僕は払暁の風景と一体になる。

朝の冷気は重い湿気を含み、真夏の爽やかな朝とは少し違う趣だ。

このモノトーンの風景に彩りが現れる頃には、

僕も仲間と合流して話を弾ませながらひとときの遊びに興じることだろう。

そんな一日のプロローグを楽しみながら僕は再び走り始める。

僕が走り去った後、しばらくはここもまた静寂に包まれるに違いない。

草いきれ2013/07/02 21:51

草いきれ
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9
撮影場所:岩国市錦町向畑




小さなオフロードバイクを駆ってハンドルの向くままに

山間の細い道を走っていると、ときおりこんな光景を見かけることがある。

平家伝説が伝わるというこの集落にもつい何年か前まで

おばあさんがひとりきりで暮らしていたそうだ。

夏草に半ば飲み込まれたように見える建物のひとつには

かつてここにも学校があったという歴史の痕跡が残っている。

往時には300人の人々が生活していたという集落跡は

外部からの侵入者を拒むような草いきれに包まれ

ゆっくりと、だが確実に自然に返りつつある。

そのころにあった賑わいを想いながら、

風の音だけが聞こえるこの場所で僕はしばし立ち尽くす。

役目を終えて静かに佇む建物の群れは

すべての運命を受け入れて終焉のときを待つ。

そこには現役を退いて余生を送る老いの穏やかな無常観が感じられ

よく耳を澄ませば祇園精舎の鐘の声が響いているのかもしれない。

ふと我に帰った。

時計を見ても思ったほどに時間は進んでいない。

僕の日常にも遠い昔こんなふうにゆっくりと時が流れる時代があった。

時に追われ、時流に転がされるように生きている今、

新鮮でかつとても懐かしく思われる感覚だ。

僕がときおり出会うこんな光景に魅かれる理由は

案外そんなところにあるのかもしれない。

仁淀ブルー2013/05/08 21:29

仁淀ブルー
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9 +フィッシュアイコンバーター
撮影場所:高知県仁淀川町安居渓谷




ゴールデンウィークが終わった今、僕は一種の虚脱状況の中にいる。

つい一週間ほど前の記憶が、ずいぶん昔の出来事のように感じられるのは毎度のことだ。

今年の連休、前半は四国でひとり旅を楽しんだ。

いつものようにあまり人が行かないような場所を選んで

物を想いながらディープに彷徨うのが僕のひとり旅の作法だ。

土佐の山中に渓流のとても美しいところがある。

仁淀ブルーと呼ばれるその水の写真を撮りに行こうと

実はずいぶん前から懐に構想を持っていたのをようやく実現したというわけだ。

船に乗って海を渡り、バイクを駆って青い水の写真を撮りに出かける旅、

ここにはそうするだけの価値がある豊かな自然が存在する。

「豊か」とはどういうことか、考えさせられる風景が存在する。

タフネスカメラを水中に浸けて、切れるような水の冷たさを我慢しながら

この瑞々しい国に暮らすことができて本当に幸せだなと僕は思った。

そんなことを思うためだけに旅に出るのもいい。

暖かな雨2013/01/23 21:25

里山
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9
撮影場所:山口県防府市近郊




身を切るような寒さが少し和らいで暖かい雨が降った。

今年も花の便りは遅いようだが、遅いなりに季節は進んでいるようだ。

このしばらくは散歩に持ち出すカメラも手軽なコンデジばかりだったけど

花が咲き始めたらまた一眼を持って出かけよう。

春を待ちわびるこの季節、寒い冬があるから

梅一輪の暖かさのありがたみが身に沁みる。

芽吹きを待つ里山の何気ない風景すら愛おしく感じるものだ。

で、話は変わってTough TG-1というカメラ、

使っているうちに何となく癖がわかってきた。

わかってくると持ち歩くのが楽しくなる。

出かけるときにどれを持ち出すか悩むのも楽しい。

そして新機種が出る噂を聞くのもやっぱり楽しい。

春が近いねぇ…。

再認識2013/01/10 21:57

エイリアンの卵
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9
撮影場所:岩国市錦町木谷峡




さて、我が家の一員になったTough TG-1だが

100枚ほど撮った後の感想などを…。

実は画質についてはまだよくわからないというのが正直なところだ。

当たればXZシリーズに負けないほどよく写ることもあり、

外れると「なんじゃこりゃ?」みたいな写真が撮れることもあり…。

実に悩ましい存在になってしまった。

全部いいなら、XZ-1にリプレイスしようかと思ったが、

この調子なので踏ん切りがつかず、

全部だめなら、「こんなもんか?」とお蔵入りさせるかと思ってもいいのがときどき撮れるし、

本来の目的であるラフに使える便利さから諦めもつかず…。

ただこの事実からやはりXZシリーズは1も2も

フラッグシップを名乗るだけのことはあるということを再認識したのだった。

コンデジとしては頭一つ抜けた存在だったのだとあらためて気づいたわけだ。

ここでE-5を買ったときに思ったことを思い出した。

E-520から比較して、AFの正確さ、速さ、インターフェイスの使いやすさ、

ファインダーの見やすさ、液晶の見やすさなど

画質がいいのはあたりまえ、でもそれ以上に安定した動作で

気分よく撮影できて、常に一定の画質が得られることに感心させられたことを…。

これがフラッグシップ機に求められる条件だということが

TG-1とXZシリーズを比較してみてあらためて感じられた。

なので、XZは1も継続して使ってゆくことに決定…、である。

あれ?TG-1のインプレは??

で、これだけのコンデジ、どう使い分けるの??

っと、そういえばE-P1なんていつ最後に使ったっけ??

やっぱり悩みは尽きないわけである。

年の初めに2013/01/04 22:06

らせん
OLYMPUS Tough TG-1
OLYMPUS LENS 4.5-18.0mmF2.0-4.9
撮影場所:名古屋市中村区名駅周辺




年の瀬も迫って、明日から正月休みだという日の夜、

いつもの年のようにバタバタと年賀状の印刷をした。

始めてみれば大して手間のかかる作業ではなく

僕程度の世間の広さであれば、

住所録の追加削除微修正や裏面のデザインの変更などを含めても

2時間あれば立派に投函できる年賀状の束が出来上がる。

見てくれは立派なのだが、その程度の手間しか掛けない年賀状だから

残念ながら古い友人に出すものですら

生存報告程度の気持ちしかこもっていない。

”人の心が年の初めに届く国”に住んでいながら

その心が生存報告だけではお粗末なかぎりであるけれど

これも便利になったのと引き換えに失われてゆく

大切なもののひとつなのだろう。

便利は必ず必要なものではないが、

一度手に入れるともう二度と手離せなくなるものだ。

そして失われた”大切なもの”も二度とは戻ってこない。

これが時の流れというものかもしれず、

未来を生きてゆく若者たちは僕たちが失ったと思っているものを

初めから知らずにいるのかもしれない。

歴史は繰り返すのではなく、少しづつ形を変えながら創られてゆくものだ。

年が明けて年賀状が来なくなった先の人を想い、

今年もそんなことを考えながら一年が始まる。




謹賀新年

本年もどうぞよろしくお願いいたします。