やまのあなた2013/11/05 23:05

錦織の季節
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mmF3.5-6.3EZ
撮影場所:山口市徳地町柚野




最近、あるテレビドラマの女主人公が時折つぶやく言葉が気になって少し調べてみた。



山のあなたの空遠く

「幸」住むと人のいふ

噫われひとと尋めゆきて

涙さしぐみかへりきぬ

山のあなたになほ遠く

「幸」住むと人のいふ

         カールブッセ(上田敏 訳)



ドイツの詩人の作らしい。

ドラマのシーンとどう繋がるのかは不明だが

何となく心に残る詩だ。

原文を知らずとも日本の書き言葉の美しさが

何より秋の心情に溶け込んでくるようだ。



山のあなた…、僕は「幸」住むところを見つけたとずっと思っていた。

思っていたというよりは信じ込もうとしていたというほうが当っているのかもしれない。

ひょっとしたら…、

薄々と感じていたように、それは夢まぼろしであったらしく

僕はなほ遠くへ向かってまた旅立たねばならないようだ。

「幸」住むところを見つける旅は果てしなく

道半ばで倒れるかもしれず…。

それでも黙々と歩き続けねばならないのが

人の生きざまなのかもしれない、と想う秋の夜なのである。

冬が来る前に2013/10/29 21:19

冬が来る前に
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
アートフィルター:ジェントルセピア
撮影場所:下関市豊北町角島牧崎




季節外れの台風が去った後、

急に温度を下げた秋風が冬を迎える準備をしなさいと告げているようだ。

つい最近まで少しだけ残っていた夏のなごりも完全に消えてしまって

風の冷たさに敏感なバイク乗り達はもう一足先に冬を感じている。

思えば暑いとか寒いとか雨は降るなとか台風来るなとか

僕はどうにもならない天気に文句ばかり言っているような気がするが

立ち直れないほど自然に打ちのめされたことはない。

無事であることのありがたさは災害の報道を見るたびに思うことで

生涯を通じて無事であり続けるということは

ある意味奇跡に近いことではないかとも思える。

そんなことを考えながら出かけた秋の海は

台風の余波なのだろうか、打ち寄せる波が岩に砕けて白いしぶきをあげていた。

が、空は青く晴れ渡り、灯台が見えるこの岬には恋人たちが逢瀬を楽しんでいる。

その幸せがいつまでも続けばいいねと祈りながら僕はシャッターを切る。

冬が来る前のわずかな時間を惜しみながら僕はバイクを走らせる。

この秋が終わりを告げる頃、真冬の寒さに堪えられる強さを

きっと僕は手に入れているに違いない。

きっとそうあることを願いながら…。

底がないおもちゃ箱2013/05/19 22:34

永遠の憧れ
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
撮影場所:岩国市吉香公園




我が人生も半世紀を過ぎていよいよ…、

というよりも、もう何年か前から後半戦に入っているという自覚はある。

もう若くないなと思い始めた頃、歳を重ねるということが苦痛だった。

だが、今は少し心持ちが変わってきていて、

この日記にも何回か書いたような記憶があるが、

歳をとるに連れて変わってゆく自分の心情が、今、おもしろくてしかたがない。

いったい若い頃には考えもしなかったことに興味を持ってみたり

姿かたちは分別臭い中年のそれに変化しながらも、

若い頃からまったく変わっていない思いに気がついてみたり

こんな自分を観察するのが楽しくてしかたがないといったところだ。

少年時代から持続して持ち続けている興味の対象や

物を所有する憧れを少しづつ叶えていきつつある自分の

変化のない部分を見つめてみるのもなかなかに愉快なものなのだ。

例えば大型バイクのオーナーになる夢を叶えたのは確か10年と少し前…。

叶えてしまえば、そのことにさほど執着はないということにも同時に気がついた。

ごく最近、ひょんなことからギターを所有することになり、

今、人生で3回目のギター小僧を楽しんでいる。

そして、初めてギターを手にしたときから思い続けていた

ある国産メーカーのギターを手に入れること…、この夢をとうとう叶えてしまった。

男が生きていくうえで必要なものは、やっぱり大きなおもちゃ箱なのだ。

歳の数に比例して欲しいおもちゃは高価になり、しかもこのおもちゃ箱には底がない…。

ある人が言っていた。

思いが残るから生きているうちに欲しいものは全部手に入れなさいと…。

新しい興味や欲しいおもちゃをどんなに放り込んでも溢れることのない、

僕たちはそんなおもちゃ箱を抱え込み、引きずり、

時にはひっくり返したりしながら自分の人生を生きている。

このことについてはたぶんこれからも変わることはないだろう。

Shake Hands2012/09/12 22:21

Shake Hands
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
アートフィルター:ポップアート+ソフトフォーカス効果
撮影場所:神戸ハーバーランドモザイク




人として生きる中で一番厄介なことは人交わりではないかと最近よく思うようになった。

もちろんこの厄介事をうまくこなせないサラリーマンに輝く未来はない。

そんなことは言うまでもないこと…。

話をしなくてもテレパシーか何かで無言の会話ができるような

そんな装置ができないかねーなどと思うようになれば

これはもうコミュニケーション拒否の症状も重症なのだろう。

ところで、ときどき真剣にこんなことを考えている僕は、

古くからの友人と話をするときには普段の姿からは想像ができないほど饒舌になるらしい。

これは反動というものだろうか?

何もひとりが好きなわけではないのだ。

ただ、大いに語り合うのも良いが

友と焚き火を眺めながら無言の夜を明かすのも

悪くないなと僕は思っている。

話は変わるが、夏に神戸に出かけたときに

モザイクにシェイクハンドという装置が置いてあったのを見た。

これは大好きな人どうしがここで手を握り合うと

きれいなイルミネーションが点くという仕掛けらしい。

例えば名刺交換をしてこの中に入って握手をすれば商談成立~♪

なんて電光掲示が付けばおもしろいのにねぇ…。

でも、洗練されたコミュニケーション能力が自慢の会社員達が

その能力を駆使してにこやかに商談した後この中に入って握手をしても、

大半の場合何も起こらないんじゃないかと僕は思うんだ。

そしてそんな様子を陰で見ながら、鼻で笑ってやりたいと考えている僕は

そろそろ社会生活から脱落寸前なのかも…。あ~ぁ…。

視線2012/08/25 09:33

視線
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 17mmF2.8
撮影場所:神戸市トアロード





出かけたい場所として都会と自然のなか、どちらかを選べと言われれば

間違いなく僕は自然のなかと答えるだろうが

ときにお気に入りのカメラを首からぶら下げて都会を歩くのも嫌いではない。

夏の休みに神戸へ行ってみた。

いろいろな顔を持つこの街を、E-P1を片手に片っ端から歩いてみた。

雨の天気予報は見事に外れて

カメラバッグの横に差し込んだ折りたたみ傘が邪魔でしかたなかったが

真夏の太陽に炙られながら、坂の多いこの街をただひたすら歩いた。

撮った写真は二百枚を超えていたけど

観光地を巡ってレンズを取り替えながら撮った写真はいまひとつパッとせず

帰ってからPCのモニターを見てがっかりするのは毎度のことだ。

歩いている最中にネックストラップを外してハンドグリップに付け替え、

レンズは17mm一本にしてみた。

常に右手にカメラを掴んでいる速射スタイルが街歩きにはしっくりくるようだ。

換算35mm前後の画角に合うのが都会の情景…。

画角を決めてしまえば見え方も気持ちも潔くなり、

もともと人間の眼にズームなんてないことをあらためて思い出す。

17mmパンケーキ、ぼくは写りに問題はないと思っているけど

さすがに最新のレンズに比べてAFスピードが劣ってきたような気がする。

リニューアルしないかねぇ…。

梅雨明けの空の下2012/07/18 22:39

梅雨明けの空の下
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mmF3.5-6.3EZ
撮影場所:倉敷美観地区





やたらと暑い日が続くなと思っていたら、いつの間にか今年も梅雨は明けていた。

明けた途端の猛暑である。

昨年ほどではないにしても、今年も梅雨明けが早かったような気がする。

これほど明けるのが早くなくてもいいから、

もう少し穏やかな降り方はできないものかと

恨みごとのひとつも言いたくなるような末期の豪雨だった。

この7月の三連休に帰省を兼ねて僕は小さな旅行に出かけた。

昔住んでいた街を訪れてみたり、何年か前に訪れた街を再訪してみたりと

いつもながら時間に追われるような慌ただしい旅程だったが

少しの間、楽しい思いをさせてもらった。

最後に訪れた倉敷の古い街並みには、数年前の冬に来たことがあって

そのときに見られなかったのは当然のことながら倉敷川沿いにある柳の青葉で

今の時季、柳に青葉があるというだけで他のものも違った色合いに見えてくる。

同じ道筋を歩いても季節の数以上に街並みの表情が存在することを

僕はあらためて知らされるのだった。

梅雨の最後の大雨が、大気の塵をすべて洗い流したかのように

見上げた旅の空は澄んでいた。

だが暑さが尋常ではない。

少し歩くだけで絞られるような汗の量だ。

この暑さ、澄んだ空気が何とか写真に写らないかと

カメラの設定をいろいろといじってみたが、やっぱり思うようには写らない。

まぁ、毎度のことながら考えているのはその程度のことだ。

雨降らば・・・2012/07/03 22:44

見つめる
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
撮影場所:防府市周防阿弥陀寺




一週間前にしっとり雨に濡れたあじさいを見ることができたのに味を占めて

僕は次の週の休日に再びここを訪れた。

あじさい祭りの期間最後の日ということで、この日もまずまずの人出だった。

あじさいの花はまだまだ見映えを維持していたが

この日はいつもここへ来るときと同じように蒸し暑く

参道の石段を昇りきる頃には滝のような汗をかいてしまったのだった。

そんな季節の中、山門をくぐったすぐのところにあって

いつも変わらず空の一点を見つめているお地蔵様は

この日も変わらぬ姿で参拝客を迎えておられた。

穏やかな表情である。

雨の日も風の日もここに座り続けた結果、得られたのがこの表情なのだろう。



「雨降らば降れ 風吹かば吹け」か…。



好まなくとも風雨に、そして他の視線に晒されるのが人の顔というもの…。

ならば雨や風に動じず、他人の視線にも負けず、

それでいて、他を圧倒したり、自分を主張するばかりの表情ではなく、

いつかはこのお地蔵様のような穏やかな顔になりたいと

そんなことをふと想ったのはやはりここが信仰の場であるからに違いない。

my boom2012/07/02 22:13

今はまだ…
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mmF3.5-6.3EZ
アートフィルター:ポップアートⅡ+ピンホール
撮影場所:周防大島片添ヶ浜




僕はときどきこのブログに

「E-P1の出番が少ない」という意味合いのことを書くことがある。

本当にそう思っているのだけど

カテゴリーを見ると他のカメラに比べてエントリーの多さは断トツだったりする。

手持ちのおもちゃのなかでどれを持ち出して遊ぼうかというのは

休日の朝、一番先に考える実に悩ましいテーマなのだ。

バイクはまず走りに行きたい場所によってわりと簡単に決められるので

どちらに乗るかで、それほど悩むことはない。

何といっても二台しかないので「どちらか」を決めればよいだけのことだ。

カメラは…、今のところ主力が3台だから、悩むほどのことはないはず…、

なんだけど、例えば写りの良さを言えばたぶんE-5が一番、XZ-1とE-P1はいい勝負、

機動力は圧倒的にXZ-1、でも望遠とマクロは断トツE-5、

持ってて楽しいのはE-P1あるいはGX200も捨て難い、

都会で買ったE-P1専用のカメラバッグはちょっとおしゃれで気に入ってるし、

ストラップを腕にぐるぐる巻きつけてわしづかみで持ち歩くE-5も好きだし、

もちろん、そんなE-5のファインダーをのぞきながら

思ったところにスッとピントが合うのはこの上なく快感だ。

で、結論として最近のmy boomは45mmF1.8を装着したE-P1…。

これが使用頻度の多いお気に入りのシステムのようだ。

特にあじさいの季節はこの程度の中望遠をよく使う。

それなのに今日の一枚は12-50㎜なのである。

広角側が2mm広く使えるこのズーム、万能なのでいつもバッグの中に入っている。

写りは凡庸という評価だけど、僕はこれくらい写れば何も文句のない人で、

だけど、同じ12mmで撮るなら

気持ち的に12mmF2.0は欲しいなぁと、すごく欲しいなぁと思ってる。

これはね、例えば1回も出すことはなくても

300km出るバイクに乗ってるんだぜと思える幸せと同じなんだ。

ところで新し物好きの僕がなぜかOM-D E-M5はスルーだった。

全部入りの最新型で評判もいいのにスルーだったわけは…、

「だって名前が長くてカッコ悪ぅ~」なんだもん…。

欲しくてしかたがなかったんだけど、名前が嫌だった。

こんなふうに妙なところにこだわるのがオヤヂになった証拠なのだ。

と、わかっていても許せないのだ。

そういえばご存じのことだろうけどmy boomというのは造語であるらしく

このまま英語圏では通じないそうだ。

boomというのはあくまでも大勢の間で流行っていることを指すらしい。

でも僕はmy boomという言葉、意外と好きなのだ。

このブログの記事みたく思いがけない方向へ進んでゆく取りとめのない文章と同じように

僕の興味、あるいはお気に入りなどそのときの風向きしだいで

その行く末が自分でも読めないのがちょっと楽しいじゃないか。

雨の季節に2012/06/28 21:21

静か
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
撮影場所:防府市周防阿弥陀寺



雨の季節の夜、

パソコンのモニターであじさいの花の写真を見ながら「雨の物語」を口ずさむ。

もちろん窓の外は雨…。



例えば青春時代というものが存在するならば

僕にとってそれは70年代フォークとともに過ごした時代だった。

今でもふとしたきっかけで

当時ギターを抱えて弾き語ったメロディが口を衝いて出てくることがある。

おもしろいことに古い歌ほど歌詞もよく憶えている。

そして同時に思い出すのが殺風景な下宿の部屋のカビ臭いにおい。

テレビも冷蔵庫も、もちろんエアコンなんてない部屋だった。

雨の季節には暑くて窓を開けっぱなしだから

いつもじめじめと湿っぽい部屋だった。

しとしとと降りしきる雨、網戸に張り付いた夏の虫、

敷きっぱなしのせんべい布団、壁に立てかけたアコースティックギター。

70年代フォークはこんな部屋でギターを爪弾きながらぼそぼそと歌うのがいい。

毎晩、いつの頃からか勝手に部屋に上がり込んで

何をするわけでもなくそこにいる友があった。

特に語り合うこともなく、そんな友がぼそぼそと歌いはじめる「雨の物語」

そして相変わらず窓の外は雨…。

パソコンは車が買えるほど高価で、もちろん携帯電話なんか誰も持っていなくて

だけど男の子ならだれでもギターを弾くことができたそんな時代に

僕たちは雨の夜を持て余しながら生きていた。

ゆっくりと時が流れ、夜は静かに更けてゆく。

雨はとうぶん止みそうにはない。

雨の休日2012/06/25 22:47

雨の休日
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
アートフィルター:トイフォト
撮影場所:防府市周防阿弥陀寺




雨の休日、近くの古刹へあじさいの花の写真を撮りに出かけた。

天気が悪いにもかかわらず、思ったよりはずいぶんと大勢の人出で

しかも大きなカメラを首からぶら下げている人も多数いた。

皆、雨にしっとりと濡れたあじさいという構図を狙って来たに違いなく

僕が考えることなど、やはり誰でも思いつくものなのだろう。



傘をさしてまで写真を撮りに行かなくても…、と僕は最近まで思っていた。

この日、雨が降っていても花の写真を撮りに行こうと思ったのは

ある小さな写真展を見て、少なからず影響を受けたからで

写欲などというものは、こんなことをきっかけとして湧いてくるものなのに違いない。

そして予報通りの雨の休日、むしろ雨降りを歓迎している自分に気づいて少し驚く。

カメラはPENを持って行こう。

あじさいを撮るなら45mmF1.8をメインに風景は17mmF2.8、

念のためにマクロが使える電動ズームもカバンに入れて…。



春の嵐が吹けば海が気になってしかたがない。

そんな日には波に揉まれてカラカラと石が転がる音が聞けるから…。

そんなことを言っていた人がいた。

ずいぶんとしなやかに人生を楽しんでおられるのだなと思った。

せっかくだから僕も少しまねをしてみようと思う。