季節の花は…2014/06/09 21:50

道標
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 70-300mmF4.0-5.6
撮影場所:下関市吉田東行庵





季節の花は時の流れの道標

人の心がどんなに変わっても

季節の花は変わらぬ姿で

何事もなかったかのように変わらぬ姿で

巡る季節の中に花開き

僕はこの花をともに見た人の面影を

胸の中に思い描いて懐かしみ

ふと心の中にざわめいた感情を

抑え込みながらゆっくりと歩く

季節の花は時の流れの道標

思い出のない季節などなくて

思い出のない花などなくて

思い出のない場所などなくて

何を見てもどこへ行っても溢れだしそうな思い出を

ひとつひとつ塗り替えるために今日も歩く



   風よ 季節の訪れを告げたら淋しい人の心に吹け
   
   そして巡る季節よ その愛を拾って終わりのない物語を作れ

                        「風」 ささやかなこの人生 より

去りゆく春2014/04/29 21:16

去りゆく春
OLYMPUS STYLUS XZ-2
i.ZUIKO DIGITAL ED6-24mmF1.8-2.5
撮影場所:広島県山県郡北広島町長沢のしだれ桜




春が過ぎ去ろうとしている。

いつもの春と同じように咲き誇る桜花繚乱を見ても

風に揺れる菜の花を見ても

何を見ても灰色にしか見えなかった今年の春…。

深い悲しみと底知れぬ寂しさの淵に沈んだ心は

それでも忙しさに紛れるうちにようやく平静を取り戻し

僕はこの春初めて心穏やかに花を見ることができた。

ひと月遅れの花吹雪に吹かれながら僕は想う。

春が来て桜が咲けば

たとえ幾年の積み重ねを経たとしても

僕は今年の…、この春の悲しみを思い出すに違いない。

去りゆく春とともに送りだした人の面影は

風に吹かれて名残を散らす花と重ねて記憶の中へしまい込もう。

そして魂の叫びが涙とともに溢れ出てしまったあの夜のことは

もう心の奥底へ封印してしまおう。

来年の春には少しの寂しさだけを伴ってこの春のことを思い出せばいい。

時の流れ2014/03/19 23:06

ほのか
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL ED 50mmF2.0 Macro
アートフィルター:ファンタジックフォーカス
撮影場所:山口県萩市萩往還梅林公園




忙しさに追われ日常が川のように流れてゆく

寒さが和らいできたと思えば梅が咲いたという便りを聞き

こころにゆとりを持てぬままに早咲きの桜の開花を知り

そんなふうに大切な何かを時の流れに置き去ったまま日々を過ごす

ふと気がつけばもう百花繚乱の季節まであとわずか

このままではいけないと手に入れた僅かな時間を

自分だけのために自由に使おうとカメラを持って外に出てみると

いつもの年と変わらぬ春の風景がそこにはあった

写真を撮るということは季節を持ち帰るということだ

毎年変わらずに訪れる季節を持ち帰りパソコンのモニターで眺めて

この春、初めて一息ついたような心持ちになった

写真を撮るということはある意味流れゆく時を止めるということだ

手を延ばしても届かない流れの早さに追いつくためにシャッターを切り

ようやく手に入れた生きている証を無造作にメモリーの中に放り込み

後でゆっくりと楽しむつもりが思うままにはならず

そんなふうに貯め込んだ時の流れの断片が幾千万の蓄積となり

その蓄積そのものが我が人生であるかのような錯覚を起こす

一年がこんなに早く過ぎてゆくようになったのはいつの頃からだろう

寝る前の僅かな時間に僕はそんなことを考える

二月に降る雪は2014/02/26 21:15

二月に降る雪は
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL 14-54mmF2.8-3.5Ⅱ
アートフィルター:ファンタジックフォーカス
撮影場所:下関市豊北町



気がつけば二月ももう終わろうとしている。

振り返れば今年は例年よりも寒い冬だったように思う。

さほど厳しくもない南国の冬ではあるけれど

そろそろ春の訪れが恋しくなってきた、

不謹慎だが寒さに飽きてきたというのが本音なのかもしれない。

二月に降る雪はあっけらかんと明るい空から落ちてくる。

寒いことに違いはないがどこか優しげな名残を惜しむような雪だ。

路傍にはもう小さな野の花がさきがけの彩りを広げ始めている。

光射す時間も少しづつ長くなってきた。

春が来たらどこへ出かけよう…、そんなことを想いながら

僕は最後の雪に向かってシャッターを切る。

生きる場所2014/01/31 23:48

生きる場所
RICOH GX200
RICOH ZOOMLENS 5.1-15.3mmF2.5-4.4
撮影場所:山口県防府市




僕の生きる場所はここにしかないのか?

そんなことを考えることがある

だけどいくら考えても答えはひとつ

そう、ここが僕の生きる場所

ここにあるのが僕の人生

暗闇の中でのた打ち回り

地べたに這いつくばって

たとえ泥水をすすっていようと

ここにあるのが僕の人生

愚痴を言う前に考えてみよう

暗闇の先に光が見えたことはないか?

長いトンネルの先に無限の青空が見えたことはないか?

運命に逆らわず

運命を受け入れて

長い雌伏のときを超えたら

小さくてもいいから鮮やかな花を咲かせ

小さくてもいいから艶やかな実をつけて

そして人知れず消えてゆき

いつの日にか無に還るとき

幸せだったと思えれば

それがささやかな僕の人生

Singer2014/01/29 21:44

Singer
OLYMPUS E-5
ZUIKO DIGITAL 14-54mmF2.8-3.5Ⅱ
撮影場所:ルネッサ長門




暗転した舞台の闇にうごめく気配が消えて

一筋の光が降りてくる

光の下にはギター抱えたひとりのSinger

右手の動きに合わせてギラギラと

ギラギラと響くギターの煌めき

魂の底を揺さぶる歌声

そして目を閉じて聴くaudience

もしこの耳がまともに聴こえたならば

僕も目を閉じて聴き入ったかもしれない

だけど僕は目を見開いたまま

友が歌う姿をこころに焼き付ける

そんな聴き方があってもいいはずなんだ

歌声は魅せるもの…

広い舞台の真ん中に

光を浴びてひとり立つ

そんな姿を記憶に重ねながら

僕は少し泣けてきた

歌は顔で歌うもの

ギターは顔で弾くもの

笑いながら言っていた

そんな言葉を思い出しながら

僕は少し泣けてきた

はらはらと…2013/12/03 20:45

はらはらと…
OLYMPUS STYLUS XZ-2
i.ZUIKO DIGITAL ED6-24mmF1.8-2.5
撮影場所:山口市徳地町串天神の滝




少しの間、目を楽しませてくれた紅葉は

いま、色褪せてはらはらと風に舞っている。

冬を迎える少し前、滝壺を埋め尽くすように落ち葉が溜まり

ふと見上げれば葉陰のなくなった森は妙に明るく

それでいて何かを失ったように寂しげな空が頭上に広がっている。

滝は途切れることなく小さな音を立てながら水を落とし

岩肌をつたう白い流れはその名の通り天神様の姿を浮かび上がらせていた。

冬を迎える準備ができたようだ。

次の春を迎えるため自然は冬に備える。

人はそれを見て季節の変わり目を知り

錦織の風景は、夏の終わりに感じた寂しさを癒すために存在する。

やがて訪れる白い冬…。

寒さを忍ぶ冬景色を見にまたここを訪れよう。

散り紅葉2013/11/27 21:49

散り紅葉
OLYMPUS STYLUS XZ-2
i.ZUIKO DIGITAL ED6-24mmF1.8-2.5
アートフィルター:ポップアートⅡ
撮影場所:山口市徳地町串天神の滝




晩秋から初冬へと季節が移行している。

明日は小雪舞う寒さになるらしい。

しばらくの間、目を楽しませてくれた錦織の秋も終盤を迎え

すっかりお気に入りの場所になった滝では小さな滝壺を埋めてゆく散り紅葉が

流れに乗ってくるくると回ったり、翻弄されて沈んでいったり…。

僕はひとりでそんな様子を写真に収めたり、遊び飽きて座り込んだり…。

そんなことを何度か繰り返しているうちに冬を迎える心の準備ができてくる。

風に舞い水面に踊る散り紅葉…。

2013/11/12 21:52


OLYMPUS STYLUS XZ-10
i.ZUIKO DIGITAL ED4.7-23.5mmF1.8-2.7
撮影場所:山口市徳地町串 天神の滝




山が紅に燃える季節がやってきた。

モノトーンな風景に覆われる前の艶やかな饗宴…。

春に手に入れたこのカメラで晩秋の彩りを撮るのはこれが初めてだ。

それよりも少し前に手元に来たXZ-2はちょうど去年のこの季節が撮り始めの時季で

これほどよく写るならもう大きなカメラは要らないかな?

と思わせるほど出来るやつだったが、それよりも一回り小柄な

掌にすっぽりと収まってしまうこのカメラも

目を凝らして見ないと違いがわからないほどよく写る小癪なやつだ。

雨の日曜日…、お気に入りのカメラを三台ほど持ち出して

定番のスポットを訪れた。

山の中へ入れば天気の悪い日には少し気味が悪いほど薄暗く

そんな山道をゆっくりとクルマを走らせていると

整然と植林された杉の林の樹間越しに真っ赤に染まる紅葉が見えた。

明るさを欲しがるカメラに意地悪く光を絞ってシャッターを切る。

すると目の前の紅はより鮮やかにモニターに浮かびあがる。

少し前まで休みの日は晴れてなければつまらないと思っていた。

雨の日曜日もいいじゃないかと思えるようになってきたのは

今年の桜の季節辺りからだろうか?

天気の悪い日にしか見られない景色もあると教えてくれたのは

傘を持っていても片手で構えられる小さなカメラのおかげだと

僕は思うのである。

やまのあなた2013/11/05 23:05

錦織の季節
OLYMPUS E-P1
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mmF3.5-6.3EZ
撮影場所:山口市徳地町柚野




最近、あるテレビドラマの女主人公が時折つぶやく言葉が気になって少し調べてみた。



山のあなたの空遠く

「幸」住むと人のいふ

噫われひとと尋めゆきて

涙さしぐみかへりきぬ

山のあなたになほ遠く

「幸」住むと人のいふ

         カールブッセ(上田敏 訳)



ドイツの詩人の作らしい。

ドラマのシーンとどう繋がるのかは不明だが

何となく心に残る詩だ。

原文を知らずとも日本の書き言葉の美しさが

何より秋の心情に溶け込んでくるようだ。



山のあなた…、僕は「幸」住むところを見つけたとずっと思っていた。

思っていたというよりは信じ込もうとしていたというほうが当っているのかもしれない。

ひょっとしたら…、

薄々と感じていたように、それは夢まぼろしであったらしく

僕はなほ遠くへ向かってまた旅立たねばならないようだ。

「幸」住むところを見つける旅は果てしなく

道半ばで倒れるかもしれず…。

それでも黙々と歩き続けねばならないのが

人の生きざまなのかもしれない、と想う秋の夜なのである。